![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 法政大学経済学部同窓会は 創立20周年を迎えます ![]() 法政大学経済学部同窓会事務局 〒194-0298 東京都町田市相原町4342 電話・FAX:042-783-2550 (火・水・金曜 9時〜16時) |
法政大学経済学部同窓会>同窓会特別講座>嶋崇氏
いまこそ『資本論』(朝日新聞出版 , 2008年9月)「これはアブナイな」と感じたのは、小泉政権ができたときです。「ボクは経済のことはわからないから」と、経済問題全般を、竹中平蔵にあっさりと丸投げしたのには、ひっくり返りそうになるくらい、びっくりしました。現代政治の中心課題が経済運営だというのは、常識中の常識ですからね。 その、小泉・竹中路線をひと言で語ってしまえば、「アメリカン・ドリームを日本でオレたちも! ウマい儲け話でラクしてガッポリ稼ごうぜ!」というもの。要は、ポール・サミュエルソンから「米国史上最低の大統領」と酷評された、ジョージ・ブッシュの猿マネですね。そしてその裏では、強い者の逃げ切り勝ちの風潮を蔓延させ、歴史的に見ても、中間搾取の温床となることが明らかだとして排除されてきた、「派遣労働」を原則自由化するなどの、やりたい放題。 踊らされた国民も、ちょっとでもオイシイ儲け話にありつこうと血まなこ。当時、書店の「経済コーナー」に積んであった、投資入門の本には、「投機とは要するに我慢です。今お金を使うのを我慢して、投機に回せば、“我慢のごほうび”としてお金が入ってくるのです!」との、したり顔のファイナンシャル・プランナーのお姉さまの解説が。なんだ!? “我慢のごほうび”って?? たまたま今の職場に近いもので、東大の生協の書籍部の、経済学部生向けの棚を、たまにのぞくのですが、驚くことに、ハウ・ツーの本ばかりなんですね。我々の学生時代のような、「原典」なんてのはほとんど無し。 これはさすがにマズイんじゃないか、と思い、気になる経済の本をいくつかあたってみたのですが、小泉・竹中の危険な方向性をきちんと分析している本となると、意外と無いんですね。 そこで、懐かしの『資本論』を読み返してみると、現代の、あらゆる経済混迷の根本問題が、まるで、ジグソーパズルのピースがパタパタとはまっていくように、きれいに解けていくわけです。改めてびっくりしました。法政大学の経済学部時代に、こんなすごいものを教わっていたのかと……。 思い返してみれば、マルクス経済学、そして、わが法政大学経済学部も、さまざまな先人の、献身的な精神に支えられて成り立ってきました。総長を務められた大内兵衛先生、大原社会問題研究所を寄贈いただいた大原孫三郎さん等々。 そんな矢先に起こったのが、例のリーマンショックをきっかけとした、経済崩壊です。このような経済混迷の時代に、マル経の牙城といわれた法政大学経済学部出身者が、なんにもしないでいたら、死んでアッチに行ったときに、そんな諸先生、諸先輩方から、そうとう怒られるだろうな〜と思ったわけです。 さいわいにして、雑誌編集者という仕事柄、文章をやさしく書くのは本職。先の生協の本棚の状況からみても、今の時代、古典派経済学、マルクス経済学などに触れたことのない若い人がほとんどであろうし、そのような講義ができる先生も、少なくなっているのだろうと思い、高校を卒業したての若い人でも理解できるような、先生と生徒のやさしい会話調での『資本論』の解説を、という意図で執筆したのが、『いまこそ「資本論」』(朝日新聞出版刊)です。 巻末での解説は、ゼミの恩師である法政大学名誉教授・村串仁三郎先生にお願いしました。 資本主義下での弱肉強食を、究極まで追い求めようとした、小泉・竹中路線の最大の犠牲者が、いまの若い人たちですからね。そのような世代の人にも、自分たちの、まさに身近な問題として読んでもらいたい、そう思ったわけです。 おかげさまで、「『資本論』のもっともやさしい解説書」「これ以上の内容を求めると、『資本論』そのものを読んだほうが早い気がする」などの評をいただき、推定1万部ほどが出ています。 昨年の夏には、法政大学経済学部時代に、ゼミのテキストとして使った『バナナと日本人』の著者、鶴見良行さんなどが設立され、私もたびたび講演を聴きに行った、「アジア太平洋資料センター」から、「『資本論』についての講義を」との依頼も舞い込みました。その講演も好評だったようで、今年は、5月から1年間かけての、『資本論』解説をベースとした連続講座を、依頼されています。私もそろそろ、ご恩返しをする年代になった、ということですね。 昨年末、朝日新聞などが主催した、「資本主義の将来」をテーマとしたセミナーを聴きに行きましたが、そこで東大の岩井克人先生がおっしゃっていたのは、「経済学のここ30年間は、“停滞”どころか“後退”だった」ということです。 では、経済と経済学は、これからどうなるのか? どうするべきなのか? 私は、マルクスの経済理論を中心として、資本主義の「原理論」をしっかりと押さえる伝統を持つ、法政大学経済学部の出身者の中から、次代を切り拓く理論を構築する人材が、出てくるのではと期待しています。そして、法政大学経済学部の卒業生の一人として、そのような人の力添えができればと、思っている次第です。 (2010.1.1)
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