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法政大学経済学部同窓会森嘉兵衛賞>第20回A賞
森嘉兵衛賞

第 20 回 (2012年) 受 賞 者
A賞鈴木 基史『平和と安全保障』(東京大学出版会、2007年)

著者略歴
鈴木基史氏 鈴木 基史(すずき・もとし)
  【現職】
 京都大学公共政策大学院教授、日本学術会議連携会員
【略歴】
 法政大学経済学部卒(1982年)
 サウスカロライナ大学大学院Ph.D(国際関係)
 ノーステキサス州立大学助教授
 関西学院大学総合政策学部助教授・教授
 京都大学法学研究科教授
 東京大学社会科学研究所客員教授
 文部科学省学術調査官などを歴任し、現在に至る
【専門】
 国際政治経済学
【著書】
 受賞作のほか、
 “The Politics of Coordination and Miscoordination in the United States - Japan Alliance”, International Relations of the Asia-Pacific 10(2010).
 “Political Business Cycles in the Public Mind”, American Political Science Review 86(1992).

講評
『平和と安全保障』  本書は、猪口孝編『シリーズ国際関係論』(全5巻)の第2巻として出版されました。本シリーズは、国際関係学の研究者を目指す大学院生、あるいはその指導にあたる研究者のみならず、体系性や豊富な事例に基づきながら現実との密接な関係を重視しており、政治家や官僚、ジャーナリストやビジネスマンなどの確かな視座を培うことも目的にしております。本書も又、そうしたシリーズの精神を十分に意識して執筆されていますが、本書の内容自体は、筆者の研究成果(文科省「科学研究費」採択研究やCOEプログラム研究プロジェクト)を礎としており、国際関係学の先端的研究内容と等価になっていると言えます。
 本書は、国際的な平和と安全がいかなるときに安定的かつ持続可能となりうるのかという人類にとっての永遠のテーマを、膨大な先行研究と事例を踏まえ、理論的かつ実証的に検証しています。現代の国際関係学では、勢力均衡ないしは覇権安定による「権力による平和(現実主義)」、国際制度による「制度による平和(制度主義)」、そして「自由と民主主義による平和(自由主義)」の3つの仮説が提起され、本書は、これら3つの仮説の各々について、理論の内部整合性を丁寧に分析すると共に、過去の事例との整合性をも追求することで、理論それ自体の限界のみならず、その応用力(実効性、問題性)までも透視しています。
 理論的分析については、国際関係学にて発展してきた内容のみならず、ゲーム理論や経済学の理論(公共財、シグナリング、モラルハザード、ホールドアップ問題・戦略的曖昧性を含む不完備契約論、フォーク定理など、第9章では比較生産費説やヘクシャー・オーリン理論など、より直接的に言及)を応用した分析に裏付けられた内容も随所に見受けられ、また、実証分析については9.11同時多発テロから古くは1648年のウェストファリア条約や紀元前1世紀のガリア戦記などの事例のみならず、多変量解析に裏付けられた分析も含んでいます(ただし、ゲーム理論や経済学、多変量解析などの知識は不要なように執筆されています)。戦争等の実例については、大統領などの当事者の言動、当事国の対応の詳細までに言及、また、制度についても条文まで遡っており、研究の丁寧さ、深さ、広さを伺うことができます。
 こうした分析より、3つの仮説の平和創造装置は、個別では不完全であること、実は一方が他方を組み込んでいること、互いの不完全な部分を克服するような複合的な装置が必要なことを論証しています。
 総括しますと、本書は、『森嘉兵衛賞』に十分に値し、『森嘉兵衛賞』の品格に貢献する著作物であると言えます。
 最後に、経済学を研究する拙者にとって、経済学という限られた研究領域ではなく、国際関係学から多くを学ぶことができる著作(特に、第9章)であったことも申し添えさせていただきます。多くの同窓生にお読みいただければ嬉しい限りです。

以上

法政大学経済学部教授 奥山 利幸